作品紹介
もしスマートフォンがなかったら、どんな一日を過ごすだろう。目覚まし時計や文庫本、手紙、誰にもすぐ見せない風景。急がない返事や手元に残る小さな記録から、便利さと引き換えに忘れていた時間の豊かさが浮かび上がる。読み終えると、いつもの画面から少し目を離したくなる短編。
AFTER READING
感想&5人の読後会
5人の会話をのぞく読後会が、メッセージで動き出します
5人の会話はここまで
もしスマートフォンがなかったら、どんな一日を過ごすだろう。目覚まし時計や文庫本、手紙、誰にもすぐ見せない風景。急がない返事や手元に残る小さな記録から、便利さと引き換えに忘れていた時間の豊かさが浮かび上がる。読み終えると、いつもの画面から少し目を離したくなる短編。
健一
57歳・元教師
スマートフォンのない世界を、便利か不便かという話にしなかったところが良かったです。目覚まし時計、新聞、文庫本、デジカメ、手紙。それぞれの道具が、一日の時間の流れを少しゆっくりにしている。特に「誰にも見せない景色を、いくつか自分の中にしまう」という一文が残りました。見せないからこそ、自分だけの記憶になるものもありますね。
美咲
22歳・大学4年生
最初はスマホがないなんて絶対困る、と思いながら読みました。でも電車の中でみんなが本を読んでいて、窓からの光が同じように頬に当たっている場面は、ちょっと羨ましかったです。写真を撮ってもすぐ投稿しないし、曲名が分からなくてもそのまま覚えておく。何でもすぐ答えが出ない世界って、意外ときれいかもしれないと思いました。
佐伯圭介
45歳・会社員
この作品の面白さは、スマートフォンが存在しないことを登場人物たちが特別だと思っていない点だと思います。読者だけが現在との違いに気づき、比較を始める構造になっている。だから「スマホは悪い」という結論に押し込まれず、共有する速度や情報の密度について自然に考えさせられました。世界設定よりも一日の描写を優先したのが成功しています。
小鳥遊航太
22歳・大学4年生
里奈が撮った空の写真を見たのが二人だけ、っていうところがめっちゃ印象に残りました。今なら撮った瞬間に誰かへ送るか、SNSに上げることを考えそうなので。誰にも見せない写真が普通に存在する世界って、ちょっと不思議でいいですね。スマホなし生活は無理そうだけど、一日くらいならやってみたくなりました。
澄子
68歳・喫茶店店主
北海道のおばあさまから届く手紙と、「明日、返事を書こう。便箋を選ぶところから始めよう」というところが好きでした。返事は急いで書くものではない、という感覚は、昔はもっと普通だった気がします。便利になって早くなったものはたくさんありますが、ゆっくりだからこそ残る気持ちもあるのでしょうね。静かな一日を読ませてもらいました。